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2022.04.27

【民事信託】信託受益権の複層化で節税できる?

 いまだに、よく税理士さんが「信託受益権の複層化で節税が出来る」と言って、
相続税節税対策‼と拝見しますが、信託法には、「信託受益権の複層化」について触れている条文根拠が
ございません。

前日、お知らせの中で、「令和3年9月17日東京地裁判決」に触れました。

認定事実で「信託法の制定」について、東京地裁は、旧信託法の改正ではなく
新たな法を制定する形式が採られた。(顕著な事実)と、ございました。

よって、過去の旧信託法時代の判例、先例、通達は、もう一度考え直す必要があると
私は述べました。

また、信託法の立法担当者の「逐条解説 信託法」が絶版になり、
手に入れようとも、手に入らず、書籍を読むことすら出来ません。
(国会図書館に問い合わせをしても、常に貸し出し中)

一部の学者さんや、信託法の書籍を書かれている専門家は、注釈に必ず、「逐条解説 信託法」
と記載がありますが、私の様な一般的な専門家は、手にする事が困難です。

その中でも、「信託受益権の複層化」は、かなりのリスクがございます。

法的根拠(信託法条文)がない。
通達があっても、旧信託法に基づき運用されているものである。

世に「節税」と言われますが、これは、リスクが伴う事に注意しなければなりません。

「節税できるか、否か」は、世の制度以外のものでは、有り得ない事と認識した方が
賢明かと思います。