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2021.08.25

「名義株」と「名義預金」の問題

 事業承継対策、相続、資産承継対策をさせて頂く際は、
まず、現状の把握が必要になってきます。

1970年代~1980年代、日本は高度経済成長期にあり、
現在のように「本人確認」や「コンプライアンス」等の
言葉や概念がなく、何より経済成長を優先していた時代でした。

その当時は、「戸籍」も自分に関係のない方のものも取得できる時代だったようです。

そこで、「名義」という問題が現在になって発生します。

その当時(平成2年以前)は、株式会社の設立には発起人と言われる人が7名必要でした。

本当に発起人の役割を果たす人を7名、見つけるのは大変だったのでしょう。

親戚や知り合いに「発起人に掲載するから、名前を貸して」という事が日常だったと思います。
今では、「名義貸し」は、各種法律で規制されていますが、当時は、責任問題という事もなかったのでしょう。

しかし、この「名義」。発起人として名義が定款にあれば、その方は発起人でその会社の株主になっています。
当時の年代からすると、ちょうど、相続が発生していて、相続人が知らないところで、どこかの株主を相続している
場合もございます。

株主の相続人にしても、その株式会社からしても、全く見も知らないことろで、権利や義務関係が発生していると
考えると、あまり気持ちのよいものでは、ないと思います。

平成28年に会社法で「株主名簿」の設置義務が課せられました。
実は、毎年、会社の確定申告の別表2で、税理士さんが作成していたものが「株主名簿」になります。

ここで、顧問税理士の方が、毎年、きちんと株主の存在を把握されているかで、後の事業承継の際に
別れ道になります。

まずは、きちんと株主の存在を確認するのが重要になります。

「名義預金」も、かつては、合法⁉というか、そこまでの取締がなかった様に思います。
自分が口座を開設していないのに、親族の方が名義を使って口座を開設して、証券の取引をしていたという
事例は、よく拝見します。

この「名義預金」も実質的は、誰の財産なのか?が相続の際に問題になってきます。

「形式的」「実質的」といいますが、「実質的」な方が所有する財産になります。

この判断が大変、難しい場合がございます。

このような点も、他士業と協力して、まずは、現在の財産、資産状況から調査して
対策のご提案、実行をして参ります。