これからは未来信託
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ブログ

2020.06.17

「遺言書」は、もはや万全の相続(争族)対策には、ならない⁉

 昨年の7月1日に改正相続法が施行されました。
この改正において、「遺言書の効力」「遺言執行者の地位」が条文化され、
明確になりました。

「遺言書」につきましては、改正前ですと、遺言執行者を遺言書で指定しておくと、
遺言書の内容に反する相続人の行為は無効になる、とありました。
よって、適法な遺言書が存在すれば、不動産については登記をしなくても、
第三者に対抗(この不動産は私の所有物です)できました。
このような効力が遺言書にあったので、不動産登記をしないままにして、
次の代になったとき、遺言書の存在がわからず、言わば、ほったらかし
の状況で、今日に来ると、俗に言う「所有者不明土地」になっているのかも
しれません。

改正相続法は、「遺言書」の存在だけでは、第三者に対抗できず、
登記等の権利を主張するための対抗要件が必要になりました。
「遺言書」を遺して安心しては、いけません。
きちんと、遺言書の内容を実行してくれる「遺言執行者」を指定しておくべきです。
(ここは、信頼できる方を指定しておいた方がよいです。日頃付き合いがあるところに
任せるのではなく、貴方が他界された後のことを責任もって実行して下さる方を指定される事を
お勧めします。遺言執行者の指定を誤ったため、争う族になる危険性もございます)

「遺言執行者」の地位権限については、改正前は「相続人の代理人」とあり、
さまざまな議論がありました。
本改正によって、「遺言執行者は、遺言書の内容を実行する者」として、明確になりましたので、
「遺言執行者」としての実務多少の違いはあると思います。

近時の判例や裁判例で、「遺言書」の内容が覆される事象がございます。
作成された方は、他界された後の話なので、せっかく相続対策で「遺言書」を適法に遺したのに、
まさに「寝耳に水」といった事象が発生します。

それは、「遺言書」は、あくまで法律上「単独行為」と言って、いない相手にボールを投げる行為
だからです。必ずしも、相手が受けとってくれるかは、わかりません。

また、民法上の法定相続人の権利も発生してきます。
その法定相続にならないために「遺言書」を遺したと思われるでしょう。
しかし、一人の相続人が争う族を発生させ、相続人全員が「遺言書」の内容によらずに、
相続するという事になれば、そちらが優先され、「遺言書」は無きものにされてしまいます。

このような事を知って頂き、相続リスク対策として、民事信託(「親愛信託」)を
ご提案しております。
カテゴリーとして、民事信託は「相続の一部」と紹介されておりますが、
じつは、「民事信託」と「相続」は、まったく別のカテゴリーです。

紹介上、わかりやすく説明するため、に表現しております。
民事信託は、相続によらない「信託法」を根拠規定としており、相続は「民法(相続法)」を根拠としており、
まったく別の専門分野です。実は。

この点を理解されておられない専門家、実務家が実に多い様に思います。

この周辺の法律に関しても、ご相談頂ければ、違いをご説明させて頂き、ご提案させて頂きます。