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2020.02.02
昨今の民事信託に関する判例の傾向について
「民事信託契約」に関する地裁レベルの裁判例を見るようになりました。
裁判例の判決の理由を読めば、だんだんと私人間どおしの信託、ちなわち
「民事信託契約」の地裁の捉え方が少し見えてきました。
私見ですが、裁判所も民事信託とは、何か、手探りで研究されておられる
様です。
判明していることは、信託法自体が英米法として捉えていらっしゃること、
委託者受託者間の信頼関係、絆の足跡(証拠)を遺している契約については、
強固な契約であると認めていることです。
「民事」なので、あくまで「私的自治」が重要視されます。
民事信託契約自体が、いまだに「無効」と理論立てて原告の代理人に
なられる弁護士の方が多い様に見受けられます。
しかし、契約を崩すまでの正当な反論を見受けません。
「信託法」という法律が制定され、10年が経ちますが、
国民の一人でも、民事信託により、ご自身の財産をどうするか
について、よりベターなご提案を出せ、実行できるのであれば、
法律家は議論すべきである、と私は考えております。
法律は、やはり国民に託された国会議員で構成される国会で
決議され、制定されるので、法律家は法律と真摯に向き合い、
どう運用すれば、国民のためになるか。
常に私は、実務運用をしなければならない、と考えて、
ご依頼者の方と向き合っていきます。
2020.01.31
「予防法務」とリーガルライフプラン
当ページで、業務内容に「予防法務~リーガルライフプラン~」があります。
抽象的で伝わりづらいかと思います。
では、一つこんな事ですよ、という案内をさせて頂きます。
・ご年配の独身の女性の方で、結婚したことのない方で、
バリバリのキャリアウーマンでした。仕事仲間と一線を退いても
交流があり、今は旅行や趣味(写真)で、働いていた頃では
なかなか行けなかった海外旅行、国内旅行と人生を満喫されて
いらっしゃる。
最近、相続や遺言という言葉をよく読む雑誌で目にされて、
ふと、ご自身の事について考えられたようです。
働いていた頃に、付き合いで生命保険や証券会社の金融商品を
買って、そのまま。各会社から封筒は届くけど、昔のままでも
友人が「これで大丈夫」と言ってくれたし、蓄えも預貯金が
あるし、マンションも買ってるから、大丈夫。
と、考えていらっしゃいました。
・十数年前の保険も保険の内容や支払い金額を見直し、
必要な項目を加え、不要なものは止める。
・万が一の認知症や介護が必要になった時の事を想定しておく。
・ご自身が亡くなられた後、ご自身が築かれた
資産の承継先をお元気なときに、決めてお相手に相談する。
・ご自身がお亡くなりになられた後の事を相談しておく。
当事務所では、財務のプロとも協力して、貴方のご意思と想いで
ご自身が築かれた資産や遺したい事を実現できるように、可能な限り
様々な専門家と一緒にプランをご提案して実行させて頂きます。
2020.01.30
「空き家問題」と「空き家予防対策」
引き続きになりますが、今でも忘れられないご相談がありました。
叔母さんがお住まいだった町の中心街にある、ご自宅がビルの間に
建っていて何とか倒壊は免れそうだけれども、家の玄関の扉が
潰れて、猫やハトが入ってきている様子である。
また、不審者が生活していた痕跡もあり、早く叔母の家を解体したいので
叔母の代わりに家の解体費用も負担するので、何とかならないか。
という旨を叔母が認知症で、その甥の方が親族後見人で、家庭裁判所
に相談したところ、「居住用不動産だから、それはできない」と
言われ、僕の元に「何とかしてもらえないでしょうか?」という
深刻なご相談でした。
被後見人の居住用(以前に住んでいた)不動産の処分は裁判所の許可
がいる。という民法で条文で決められています。
「許可」=「原則:禁止」です。
さすがに、僕も策はありませんでした。
家の現況の写真付きで、裁判所に申し出たのですが、許可されませんでした。
現況も、ビルの間で何とか建ってます。玄関はベニヤ板で強力に閉じて
週何度か、遠方より、家の状況を観察されているようです。
「予防策」として、民事信託できる状況であれば、その甥の方を受託者として
策はあったのですが。
今の僕の実務の戒めとなっている、ご相談でした。