ブログ
2020.10.06
『金融機関を突破する』民事信託の契約書ほど危険で意味がない!
昨今、士業間で『民事信託の契約書の書き方』『民事信託契約書の起案力』などを語り、
セミナーや書籍に書いて、他又は同士業に教材として販売されていることを多々拝見します。
そもそも『信託』という方式は、法律典が発生する以前に誕生していました。
真に英知の結晶です。
それを軸にアメリカなど『人種のつるぼ』といわれる国で発展してきました。
よって、国家が制定する法律典よりも歴史は古いですし、奥深いものです。
なぜか、日本の士業は金融機関との関わりを重視します。
金融機関が『YES』といえば、『YES』という士業も多いでしょう。
『民事信託』と金融機関との繋がりは、『信託口口座』(信託財産を管理するため、区別するため)
を開設して、受託者、受益者等の方に変更(死亡等を含む)があった場合でも、
その口座は、凍結されない口座を作って頂く事だけでよいと思います。
そもそも、信託契約は委託者と受託者の間で締結するものであり、
第三者の金融機関が口出しするのは、可笑しいですし、ましてや、金融機関が認めないといけない、
などと、民事信託を考えている実務家は、間違いであり、とんでもない話です。
また、信託契約された信託財産の内容を理由を問わず、金融機関に見せないといけない、という
認識は、とても士業として品位を欠くあるまじき行為です。
その先には、信託内融資等が絡んでいるのでしょう。
しかし、この『信託内借入』、言葉にすると、正当で適法なイメージになりますが、
まだ、裁判所は有効か無効か判断しておりません。
(私が信託法の条文を解釈、読解すると、信託を絡めた融資は危険ですし、条文に
それを可能とする根拠がありません。可能とおっしゃる専門家の条文を研究しましたが、
やはり、その条文は根拠にはならない、と私は考えます。)
ところで、皆さんはご子孫や信頼できる方に
「私の夢は、マンションを建てることだ。私が認知症になったら金融機関に迷惑をかけるから、
マンションを建てることを、お前に託したい。受託者になって借金して私のためにマンションを建ててくれ!」
こんな事、託しますか。
事実、信託内融資とは、話口調で説明すると、このような感じです。
良識ある皆さまは、信じがたいかもしれませんが、こういうことが法律専門家と金融機関との
間で実際に、やり取りされています。
『民事信託契約書』は、将来の事を委託者が信託財産をどのようにして行くかを決める。
その意思表示の現れが一番重要です。そこから、さまざまなリスク回避に対応するのが専門家の役目です。
金融機関に認めてもらう必要など、さらさらないのです。