お知らせ
2022.06.01
【民事信託】ー農地は信託できるのか⁉ー
「農地は信託できるのか?」
この問いに対して、それぞれ専門家によって、答えは違っております。
無論、信託を組成する以上は、将来、どのような結果になるか専門家は責任を取らなくてはなりません。
今から将来、未来を見据えて信託を組成するのですから、令和3年9月17日東京地裁判決にあるように
「信託の専門家」と名乗る以上は、それなりの責任と覚悟が必要ななってきます。
では、私がご依頼者にお答えするのは、
「信託契約上、農地は信託財産に入れる事は可能ですが、不動産登記等で現実に実行する事は
現在、法律上出来ません。」
「う~ん、お前、答えになっていないじゃないか。」
と、思われる方、申し訳ございませんが、そう感じになられるのは、勉強不足です。
なぜなら、信託法、民法、農地法の関係を理解されていないからです。
信託法は、「英米法」で契約自由の原則、国家が個人の取引に関与しない、規制緩和された国で
生まれた法律です。
一方、民法は、「大陸法」で、規制国家で生まれた法律です。個人の取引に国家が関与できる点に
「英米法」と、大きな違いがございます。
では、「農地法」は、民法上、「所有権絶対の原則」が大定義としてございますが、
先程、申し上げたとおり、国家いや行政が介入できるようになっています。
この農地法が「所有権絶対の原則」の例外にあたり、「行政介入行為」が認められており、
農地の所有権を移転する場合は、農地法の許可が必要、逆に解釈すれば、「農地の個人的な譲渡は禁止」
ということに、法学上なっております。
このように、食物の自給率の問題があるにも関わらず、自由な農業の発展を妨げていると言っても
過言ではありません。
「英米法」と「大陸法」の全く視点が違う法律が存在する今、
法律家である我々は、大いに議論すべきであると思います。