これからは未来信託
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お知らせ

2022.05.16

【真相】平成30年9月12日東京地裁判決と「家族信託と遺留分」との関係

 ネットや書籍で、信託実務家や学者が「平成30年9月12日東京地裁判決は、信託が遺留分減殺請求(当時)に負けた」と、
拝見しますが、これは、全くの嘘(デマ)になります。
ことの真相を述べておりません。

結末は、控訴審にて、原告側が訴えを取り下げ、和解によって、終了しております。
よって、平成30年9月12日東京地裁判決は、効力もなく、原告の訴えの取り下げにより、訴えそのものが存在しません。

また、信託と遺留分減殺(当時)の関係を争点とした民事訴訟では、ございません。

原告側の訴訟上での主張は「共有権確認等請求訴訟」であり、すなわち信託

契約及び死因贈与契約の無効を前提に、法定相続割合の所有権の取得を

目的とするものでございました。

東京地裁判決の内容は、信託契約自体の成立は有効と認めながら、信託財産に自

宅が含まれていたため、収益を生まない自宅部分の信託契約を「公序良俗

違反で無効」と判断して死因贈与契約を適用、その他の部分については「有

効」とする、という不可思議なものでした。

しかし、東京地裁も「公序良俗違反」という理由を挙げておりますが、
実は、「公序良俗違反」という結論は、社会的に反する、秩序に反するという考え方、解釈がございますが、

「公序良俗違反の研究」(日本評論社・編者 椿寿夫、伊藤進(明治大学法学部教授))という書籍に
興味深い研究論文がございました。

「公序良俗違反は、本来他の領域で解決されるべき問題であるにもかかわらず、議論が熟せず、立法ないし
解釈が定着しない問題について、一定の期間、公序良俗といういわば広くて何でも押し込めることができる
広間を間貸しさせるという機能を果たしていることだろう。P.79・2.立法・解釈の進展のつなぎとしての機能」

現在の信託法は、一般の私のような法律家では逐条解説書も手に入れる事が出来ず(絶版になったようです)、
まだ制定から十数年しか経過しておらず、議論が熟しているとは、いえないでしょう。

しかし、条文、法律として存在する以上は、法律実務家として、どのような運用をすべきか、条文を軸として
考察しながら、実務をするしかありません。

信託法の条文を熟読すれば、今までの法律とは違うと率直に思われるでしょう。
だからこそ、色々な視野で考え、有名な話や書籍に惑わされず、きちんと専門家として
「いかに、活用すべきか」前向きに検討していく必要性が問われていると思います。

岡山県司法書士会司法書士・作家 河合保弘YouTubeセミナー