これからは未来信託
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お知らせ

2022.04.15

「相続対策」=「民事信託活用」という考え方は、間違い⁉

 多くの専門家が、「民法・相続」と「信託法・信託受益権の承継」、
こちらを、ごちゃごちゃに、ご依頼に提案され、信託契約を交わし、信託契約書に
されているケースを最近、よく拝見します。

これは、「信託法」の条文を理解されず、勝手な民法上に信託法がある、と
捉えている専門家が陥りやすい、将来「危険な信託」になる可能性が高いです。

受益者の死亡により他の者が新たに受益権を取得する旨の定めのある信託の特例

信託法 第九十一条  

受益者の死亡により、当該受益者の有する受益権が消滅し、他の者が新たな受益権を取得する旨の定め(受益者の死亡により順次他の者が受益権を取得する旨の定めを含む。)のある信託は、当該信託がされた時から三十年を経過した時以後に現に存する受益者が当該定めにより受益権を取得した場合であって当該受益者が亡するまで又は当該受益権が消滅するまでの間、その効力を有する。

何と、信託契約で「信託受益権は、受益者の死亡で消滅し、次期受益者のもとで、発生する」と定める事がこの信託法91条によって
認められております。

よって、そもそも、相続が発生する余地はございません。
信託法での財産権は、信託受益権で、所有権ではございません。

この点をよく条文で確認されていない、信託契約書には「受益権は、遺産分割協議で次期に取得する者を定める」
と、訳のなからない契約書には、ならないはずですね。

民法・所有権等の財産を所有していた者が死亡した際に、存在した、その財産が相続財産になるのです。

この点の違いが重要になってきます。

民法

(相続開始の原因)

第八百八十二条 相続は、死亡によって開始する。

(相続の一般的効力)

第八百九十六条 相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務

承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。

民法上の財産が相続財産になり、信託法の信託財産は、そのままで、信託受益権が信託契約に従い、次期の受益者に承継される、
よって、相続と民事信託・信託法は大きく領域が違う話になります。

岡山県司法書士会司法書士・作家 河合保弘YouTubeセミナー